Unity 3D アプリケーションの Android 向けビルドをカスタマイズしたい

この記事は KLab Advent Calendar 2016 の14日目の記事で @kakkun61 が担当します。

compile SDK version や build-tools version を Unity アプリで指定するにはどうすればいいの?という話をします。

この記事の内容は OS X 10.11.6 で確認しています。

Android アプリケーションのビルド時に指定するバージョンについて

Android アプリケーションのビルド時に指定するバージョンについては「基本をおさえる!Androidアプリで指定するバージョンについて(compileSdk,buildToolsVersion,....) - Qiita」にまとまっています。簡単に引用・要約します。

Android アプリケーションのビルド時に指定するバージョンは下記7つあります。

  • SDK バージョン
    • コンパイル SDK バージョン
    • 最小 SDK バージョン
    • 最大 SDK バージョン
    • ターゲット SDK バージョン
  • build-tools バージョン
  • Gradle の Android プラグインのバージョン
  • Gradle のバージョン
SDK バージョン
コンパイル SDK バージョン
コンパイル時に使用される Android.jar のバージョンでここにない API はコンパイルできません。build.gradle に記載します。値としては API レベルです。次の3つも同様です。
最小 SDK バージョン
インストールできる OS の下限で、条件付きコンパイル等しない限りこれより古い API は利用できません。build.gradle に記載します。
最大 SDK バージョン
インストールできる OS の上限です。build.gradle に記載します。
ターゲット SDK バージョン
OS がこの値を見て処理をし分けます。例えば UI テーマの変更や実質メニューキーの表示非表示があります。引用元記事にスクリーンショットがあります。build.gradle に記載します。
build-tools バージョン
その名の通り build-tools のバージョンで aaptaidldxjack.jarjill.jar などが含まれます。build.gradle に記載します。
Gradle の Android プラグインのバージョン
プロジェクトの build.gradle に記載します。
Gradle のバージョン
gradle/wrapper/gradle-wrapper.properties にダウンロード元 URL として記載します。

Unity 3D から生成した Android プロジェクトを Gradle でビルドする

Unity 3D を使って直接 APK を生成する場合、コンパイル SDK バージョンと build-tools バージョンを指定することができず、ビルドするコンピューターにインストールされている最新版が使用されます。これでは、ビルドサーバーを複数案件で共用している場合、案件ごとでこれらバージョンを固定してビルドすることができなくなります。なので、Unity 3D から Android プロジェクトを生成し、Gradle でビルドすることを考えます。

ただ、これではまだ問題があります。Unity 3D の生成する Android プロジェクトの形式が ADT 形式なのです。Google による ADT のサポートは終了しています。

これを Gradle でビルドするために Gradle ビルドスクリプトに少し工夫を加えます。

処理の流れ

  1. Unity エディターから Android プロジェクト(ADT 形式)を出力
  2. Gradle でビルドできるよう Gradle 関連ファイルのリンクを作成
  3. Gradle でビルドして APK 生成

ディレクトリー構成

下記のようなディレクトリー構成とします。サンプルリポジトリーはこちら

  • Assets/
    • Editor/
      • BatchBuild.cs
  • ProjectSettings/
  • gradle/
    • gradle/wrapper
    • build.gradle
    • gradlew
  • make-gradle-buildable.bash

BatchBuild.cs

バッチビルドでは Build() 関数を呼び出せば build-adt ディレクトリーに Android プロジェクトが生成されます(処理の流れ 1)。BuildOptions.AcceptExternalModificationsToPlayer を指定することで Android プロジェクトの生成を指定しています。その他のパラメーターは適宜変更してください。

using UnityEngine;
using UnityEditor;
using System.Linq;

public static class BatchBuild
{
    public static void Build()
    {
        EditorApplication.Exit(DoBuild());
    }

    static int DoBuild()
    {
        Debug.Log("Build Start");
        var options = BuildOptions.SymlinkLibraries
                      | BuildOptions.Development
                      | BuildOptions.AllowDebugging
                      | BuildOptions.AcceptExternalModificationsToPlayer; // このオプションでプラットフォームのプロジェクトが生成される

        var scenes = EditorBuildSettings.scenes.Where(s => s.enabled).ToArray();

        PlayerSettings.bundleIdentifier = "com.example.gradletest";
        PlayerSettings.bundleVersion = "1";
        PlayerSettings.productName = "Gradle Test";
        PlayerSettings.Android.bundleVersionCode = 1;
        PlayerSettings.Android.minSdkVersion = AndroidSdkVersions.AndroidApiLevel22;

        var errorMessage = BuildPipeline.BuildPlayer(scenes, "build-adt", BuildTarget.Android, options);
        if (string.IsNullOrEmpty(errorMessage))
        {
            Debug.Log("Build Success");
            return 0;
        }
        Debug.LogError("Build Failure");
        Debug.LogError(errorMessage);
        return 1;
    }

    [MenuItem("File/Export Android Project #%a")]
    public static void MenuBuild()
    {
        DoBuild();
    }
}

make-gradle-buildable.bash

処理の流れ 1 で、build-adt ディレクトリーに Android プロジェクトが生成されるので、Gradle でのビルドができるようにそこにファイルのリンクを置きます(処理の流れ 2)。prod_nameBatchBuild.csPlayerSettings.productName に指定されたものです。

#!/usr/bin/env bash -ex

prod_name=$(ls -1 build-adt)
ln -sFv "$(pwd)/gradle/"* "build-adt/$prod_name"

gradle/build.gradle

処理の流れ 3 のADT 形式のプロジェクトを Gradle でビルドするためのビルドスクリプトです。sourceSets の部分がキモで、各ソースファイルの位置を ADT 形式に合うように指定しています。他の部分は一般的な Android のビルドスクリプト同様に適宜変更してください。

buildscript {
    repositories {
        jcenter()
    }
    dependencies {
        classpath 'com.android.tools.build:gradle:2.1.0'
    }
}

allprojects {
    repositories {
        jcenter()
    }
}

apply plugin: 'com.android.application'

android {
    compileSdkVersion 23
    buildToolsVersion "23.0.2"

    defaultConfig {
        applicationId "com.example.gradletest"
        minSdkVersion 15
        targetSdkVersion 23
        versionCode 1
        versionName "1.0"
    }

    // Lint エラーが出てもビルドを継続するように指示
    // Unity の生成物が Lint にひっかかるので必須
    lintOptions {
        abortOnError false
    }

    buildTypes {
        release {
            minifyEnabled false
            proguardFiles getDefaultProguardFile('proguard-unity.txt'), 'proguard-rules.pro'
        }
    }

    // ADT 形式のディレクトリー構成に対応するための記述
    sourceSets {
        main {
            manifest.srcFile 'AndroidManifest.xml'
            java.srcDirs = ['src']
            resources.srcDirs = ['src']
            aidl.srcDirs = ['src']
            renderscript.srcDirs = ['src']
            res.srcDirs = ['res']
            assets.srcDirs = ['assets']
            jniLibs.srcDirs = ['libs']
        }
    }
}

dependencies {
    compile fileTree(dir: 'libs', include: ['*.jar'])
    compile 'com.android.support:appcompat-v7:23.4.0'
}

ビルド手順

以上の準備をすると、下記コマンドでビルドができるようになります。生成された APK は build-adt/$prod_name/build/outputs/apk 以下にあります。./make-gradle-buildable.bash./gradlew build の実行は、Unity の post process build にしてしまうのもありだと思います。

/Applications/Unity/Unity.app/Contents/MacOS/Unity -batchmode -quit -executeMethod BatchBuild.Build
./make-gradle-buildable.bash
pushd "build-adt/$(ls -1 build-adt)"
  ./gradlew build
popd

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