『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』アプリ内で2021年9月より配信されている、新ストーリー『NEXT DREAM』。
『キャプテン翼』原作者の高橋陽一先生による原案・監修のもと、KLab社内の制作チームが一丸となってイラストやオリジナルボイス用脚本などの制作に励んでいます。
名作『キャプテン翼』の世界観を守りながら、新ストーリー制作の一端を担うというお仕事には、もちろん苦労もある一方、この仕事ならではの面白みもあるそうです。
そこで今回は、制作チームの社員に、制作の舞台裏についてインタビューしました。
▼『NEXT DREAM』とは
『キャプテン翼』の新ストーリー。アプリ『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』内のストーリーモードから読むことができる。ストーリーは毎月1話ずつ新たに追加されている。
Y・Y
『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』シナリオ関連の制作業務とディレクション、プロモーション関連の映像制作業務を担当。『NEXT DREAM』に関しても同様にシナリオ・演出のディレクションを行うほか、原作者・高橋陽一先生の原案をもとにしたシナリオ制作に関する業務を担当。
A・K
『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』および『NEXT DREAM』のイラスト全般のディレクションと管理を担当。
――まずはじめに『NEXT DREAM』制作の流れについて教えて下さい。
Y・Y:高橋陽一先生から頂いた原案をもとに、プロットを立てていきます。その中で、映像としての構図を考え、そこで必要になるイラストを社内で発注していくという流れです。
イラストを発注する際は、キャラクターをよく理解し、原作との整合性がちゃんと取れているかどうか、気を付けながら進めていますね。
ちょっとでも気になったら必ず原作を読みなおしますし、「原作のあのシーンを思い起こさせる表情にしてください」など伏線を含めながら発注しています。
A・K:私はもともと『NEXT DREAM』公開以前から、『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』のアプリ内の2Dイラスト制作の管理をしてきましたが、イラストももちろん原作あってのものなので、いかに原作の世界観を守り、その「品質」を管理するか、ということをずっと大事にしてきました。
『NEXT DREAM』は新ストーリーゆえに「原作のシーン」がありませんので、「高橋陽一先生ならこう描くのではないか」、とか、「このキャラクターは『キャプテン翼』の中だったら、きっとこういう性格でこんな表情をするだろう」ということを考えて、高橋陽一先生からもフィードバックをいただきながら、イラスト管理をしています。
――高橋陽一先生とKLabで、まさに一丸となって制作されているようですね。
『NEXT DREAM』はKLabとしても新しい取り組みですが、前例のない中での制作で、特にこだわっている部分などありますか?
Y・Y:
ゲームシナリオとして落とし込むにあたって、「読んでいて小気味よいボリューム」にまとめつつ、描くべきもの、伝えたいストーリーを決して取りこぼさないよう努めています。
この「小気味よいボリューム」というのが難しいんですが、アプリでは次のセリフに進むたびに画面をタップしなければならないので、そのタップ数をあまりにも増やしてしまうと、読み進めるのが辛くなってくるんです。
なので、ユーザーの負担にならない分量にまとめるべく、キャラクターの表情やカットインのイラストで、情報をしっかりと表現しながらコンパクトにしていく、というのにはこだわっています。
また、『NEXT DREAM』は月に1回、1話ずつ更新しているのですが、シナリオリリースを毎月行うというのは『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』としては初めてのことなので、スケジュールの調整と品質の担保、向上が目下の課題ですね。
A・K:
イラストの場合、こだわりは構図と表情です。
通常『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』内で読めるシナリオは原作で実際に描かれているシーンをベースに制作を行うのですが、『NEXT DREAM』は(具体的な漫画や映像が存在しないため)ゼロベースからのスタートなので、構図から社内のイラスト制作メンバーに何案か出してもらい、その中から一番適した構図を選択し制作を進行しています。
その時のキャラクターの心情や状況を一枚のイラストで伝えられるよう構図、表情は大切にしています。
▲イラストのラフ。構図などにもこだわっている
それから、『NEXT DREAM』には、新規のオリジナルキャラクターも登場しています。こちらも高橋陽一先生から頂いたラフベースをもとに制作していくのですが、『キャプテン翼』の世界観を大切にしながらも、キャラクターの精度をあげていけるよう取り組んでいます。
▲『NEXT DREAM』にはオリジナルキャラクターも登場する。
――オリジナルキャラクターがまさにそうですが、読んでいると、『NEXT DREAM』ならではの楽しみがあるなと感じています。制作する側としても、「アプリ」だからこそできる表現、みたいなものはあるんですか?
Y・Y:
あくまで原作『キャプテン翼』をべースとしたアプリということを念頭に、アニメ的な表現に寄らず、かといって漫画の枠にとらわれない、新しい体験をユーザーの皆様にお届けできるよう考えています。
例えば、ゲームアプリのシナリオモードでよくあるのが、「キャラクターが正面立ちになっていて、セリフが流れてくる」という、構図なんですが、『NEXT DREAM』では、あえて漫画の「コマ割り」みたいなもの(※1)を取り入れてみたり、ドラマチックな表現を試みたりしています。
▲※1)『NEXT DREAM』には、既存のシナリオモードにはあまり登場しない「漫画のような」な表現も。
新しい演出効果や表現を取り入れ、常に進化を続けられるよう、メンバー総力を挙げて頑張っています。
A・K:
Y・Yさんがおっしゃっているように新しい演出効果をより良く表現できるよう、イラストで協力できるところはさせていただいています。イラストだけですと、どうしても表現の限界がきてしまうので、チームで協力してより『NEXT DREAM』を楽しんでいただけるよう努めていきたいですね。
――『NEXT DREAM』を読み進めていくと、キャラクターによっては、人柄を感じるようなエピソードも出てきますよね。
Y・Y:
そうですね。完全新規のシナリオを描かせていただける貴重な機会だからこそ、キャラクター描写やストーリー展開を大切に考えています。
プロローグ編(『NEXT DREAM』第1話~第6話までの序章)では、原作でも大事にされている試合外でのキャラクターの掘り下げを特に意識して制作しました。
A・K:
プロローグ編では各キャラクターたちに状況の変化が起こるので、イラストも、よりキャラクターの心情を意識して制作しました。やはりキャラクターの新たな一面、新しい展開を、限られたイラスト枚数で表現できることを大切にしています。
――「キャラクター描写」という意味で、お二人が特にお気に入りのエピソードはありますか?
Y・Y:
ネタバレになってしまいますが、ストーリーの中で、石崎君が重大な告白をするシーンがあるんです。
石崎君ならきっと時間をかけて自分の考えを伝えるのではないかと考え、「時間経過」が分かる要素を盛り込みました。例えば、背景が夕焼けから宵に移り変わっていく様子だったり、カラスが後ろで鳴いていたり。
さらには新規のBGMまで付けて。大事なシーンなので、とってもこだわりました!
A・K:
このシーン、イラストも、キャラクターたちが並んで立っているだけではおもしろくないので、いろんなアングルから、通常の何倍ものカットを用意したんです。
それだけ力を入れていたので、さらに声優さんのCVがついた時には、描いた世界観が想像を越えて感動しましたね。
『NEXT DREAM』では、主要なキャラクターについてはフルボイスを新規で入れている箇所もたくさんあるので、そこにもぜひ注目していただけたら嬉しいです。
――たくさんのこだわりが詰まっているんですね。それでは、このプロジェクトに関わって良かったと思ったことなどありますか。
Y・Y:
シンプルで恐縮ですが、『NEXT DREAM』というプロジェクトに携わることができたことそのものです。
ユーザーの皆様の目は当然厳しくもありますので、その分、ストーリーを読んでいただいて、喜んでいただけた時の感動も大きいです。
それと、KLabはもともと部署間の壁はあまり無い方ではありますが、このプロジェクトを通して、色々な部署とのやり取りがさらに増えたので、横断的な活動がよりしやすくなった、業務の幅が広がった、というのも個人的には良かったなと思っています。
A・K:
私も、『NEXTDREAM』というお話をいただけたことです。
今までKLabのメンバーが培ってきた実績や品質を信頼して、こんな素敵なお話をもらえたことが嬉しかったです。
久しぶりに登場したキャラクターに、ファンの方が反応してくれたり喜んでくれたりするのは本当にありがたいですし、やってよかったなと思う瞬間です。
――最後に、今後の意気込みや展望があれば教えてください。
Y・Y:
今後は世界を舞台とした選手たちの熱い戦いも始まり、キャラクター同士の攻防や、まだ見ぬライバルたちの登場が続々と待っています。
引き続き、高橋陽一先生の原案のもと、ファンの皆さんを裏切ることのない熱いストーリーをお届けできればと思います!
A・K:
『NEXT DREAM』はまだまだ始まったばかりです!
今後は馴染みのキャラクターたちに加え、新たなキャラクターたちの登場、まだ見たことのない展開が続いていきます!メンバー総力をあげてファンの皆様に高橋陽一先生原案の新しい『キャプテン翼』の物語を届けていきます!
――ありがとうございました!
2022年3月から、ついに欧州を舞台に選手たちの活躍が見られる展開がスタートした『NEXT DREAM』。
初回のみ読了後にゲーム内アイテム(夢球)が付与されるので、ぜひゲームとあわせてお楽しみください!
『NEXT DREAM』特設サイト
https://www.tsubasa-dreamteam.com/next-dream/
©高橋陽一/集英社
©高橋陽一/集英社・テレビ東京・エノキフィルム
原作「キャプテン翼」高橋陽一(集英社文庫コミック版)
©KLabGames
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