ゲームに導入される最新技術とは?機械学習Gにインタビュー!

ゲームに使われている様々な最新技術。
CGなどの視覚的な分野における技術だけでなく、ゲーム画面からは見えないところにおいても、あらゆる技術が日々研究されており、最近は「機械学習」までもがゲームに取り入れられていることもあるそうです。

世間でも注目されている「機械学習」がゲームにどう使われているのかについて詳しく知るべく、今年KLab内に新設された「機械学習G」のみなさんにオンラインでインタビューさせていただきました!

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(広報)ー「機械学習」とは一般的にどんな定義でしょうか?

機械学習とは、〈ソフトウェアの振舞いを直接コーディングせずにデータから学習させる技術〉のことです。身近な例としては迷惑メールフィルタがあります。ユーザの報告から迷惑メールの判別方法を学習しています。

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▲画像:迷惑メールフィルタのイメージ

機械学習には大きく分けて3つのタイプがあります。迷惑メールフィルタのように、ラベル付けされたデータを使うタイプは「教師あり学習」とよばれます。反対に、ラベルのないデータを使うタイプは「教師なし学習」といいます。たとえば、大量のメールを自動でグループ分けするといったことに使われます。
さらには、ラベルもデータもない状況で、ソフトウェア自身が試行錯誤して適切な振舞いを学習していく「強化学習」というタイプもあります。GoogleのAlphaGoがその例で、AlphaGo同士で対戦して囲碁の打ち方を強化学習し、囲碁の世界王者に勝利できるまでに成長しました。

また、機械学習を活用するうえで最も重要なのはデータです。大量のデータが統一的なフォーマットで整理され、全社的なデータ基盤に集約されていることが大切です。昨今の人工知能ブームを牽引してきたのは、先進的なデータ基盤をもついわゆるWeb系企業でした。

ーなんだか壮大になってきましたが...KLabでも応用できるものなのでしょうか。

じつはKLabには、機械学習で必要となるデータ基盤がすでに整備されています。運用中のサービスではゲームプレイのログを記録していますし、全タイトルのデータをBigQueryに集約しています。ユーザデータだけでなく、ゲーム内のキャラクターやアイテムなどのマスタデータもコマンド1つで検索できるようになっています。このようなデータ基盤を実現するには、ゲームタイトルをまたぐ開発・運用ワークフローの標準化やデータアクセスポリシーの策定など様々な準備が必要で、機械学習を始めたいと思ってから着手しても間に合うものではありません。先進的なデータ基盤をもつKLabだからこそ、ゲームの開発や運用に機械学習が使える場面は豊富にあります。

ーなるほど。ではKLabの話についてもお伺いしていきたいのですが、「機械学習G」はどういった経緯で発足したのでしょうか?

決算発表(※)などでも発表されている通り、KLabでは「既存ゲームの運用効率化」と「ハイパーカジュアルゲームへの進出」という方針を打ち出しています。これらを実現するために、機械学習が重要な役割を果たします。

(※)「2021年12月期 第1四半期 決算説明資料」はこちら!

たとえば、これまで人手で行っていた作業を自動化して運用コストを削減したり、変化に富んだゲームを生み出してより長くゲームを楽しんでもらうことができるようになります。ハイパーカジュアルゲームは簡単に作れそうに見えますが、だからこそユーザや市場に対する深い洞察が必要な分野で、データドリブンなゲーム制作が重要になります。

グループ発足以前から、KLabの技術戦略としてデータ基盤の活用を推進するため、機械学習プロジェクトとして機械学習の実用化を模索していました。そこでいくつかの成果が出たこともあり、社内で機械学習が活用できる場面を俯瞰して組織横断的に支援していくために、グループが発足しました。


ー組織的に取り組んでいただけるというのは心強いですね!機械学習G発足によって、今後どんな変化が期待されていますか?


まず、機械学習を必要とする課題を組織横断的に支援することができるようになります。機械学習Gでは、メンバーがお互いの課題や取組みを共有するとともに、四半期に一度活動内容を全社的に共有しています。これにより、取り掛かりやすく効果が大きい案件からスタートし、成功事例を横展開できるようになります。

たとえば、現在私たちが研究している譜面生成システム(※)は、比較的譜面がシンプルなタイトルからスモールスタートしました。その後、九州大学様との共同研究を通して最先端の知見も取り入れてシステムを高度化し、現在はより複雑な別タイトルへの横展開に取り組んでいます。

(※)プレスリリース:KLab × 九州大学 機械学習を用いたリズムアクションゲームの譜面制作支援システムの高度化に向けた共同研究を開始

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▲リズムゲーム画面イメージ( 流れてくるノーツに合わせてタップ!)

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▲譜面生成のイメージ(上:入力した楽曲データ、下:機械学習で生成したノーツ)


ーゲーム×機械学習の研究が深まることで、KLabのゲームは今後どう変わっていくでしょうか?

機械学習によって単純作業を効率化することで、開発者はより本質的な作業、ゲームの面白さを高める仕事に注力できるようになります。モバイルゲームも年々リッチな体験が求められるようになってきています。運用しながら開発するのは大変なことで、運用の省力化こそが新規タイトルの開発力にも繋がると思います。
今後はNPCの思考ルーチンなどの「ゲームの中」にも機械学習を使っていきたいです。たとえば、各プレイヤーの行動を学んだ本人そっくりなAIが作れれば、世界中の人と時差や通信遅延を気にせず対戦できるようになります。ビギナーを支援したり、変化に富んだゲーム展開を生み出したりもできます。

そもそも2000年代頃は機械学習ブームもまだ来ておらず、ゲームに本格的に機械学習が使われる事例というのはほとんど考えられなかったように思います。それが、ここ数年であっと言う間に状況が変わり、KLabでも使える状況が整ってきました。まだまだ想像もしてないような応用も考えられるので今後が楽しみです。


ーいろんな可能性がありそうですね。ゲーム業界全体の動向も気になります。

ここ5年ほどで国内外の多くの会社が機械学習の専門チームを立ち上げて、機械学習を活用しはじめています。日本のゲーム開発者のカンファレンスCEDECでは2016年から機械学習を扱った発表が現れ始め、2020年には18件まで増えました。すでに実用レベルに達している用途としては、デバッグや文書校正の自動化、コンテンツ生成、不正検知など開発・運用を支援するものが多いようです。意外にも、ゲーム内の思考ルーチンに応用するのは難しく、試作段階の発表が多いようです。
このような中で、KLabの機械学習Gはまだ人数は少ないながらも、全員のスキルを合わせれば機械学習の現場実践から学術研究までカバーできる能力が揃っており、少数精鋭といえると思います。実際、先ほどお話しした譜面生成のケースでは、公開されたばかりの論文プレプリントを読み解いて、論文が学会誌に掲載されるよりも早く、独自の改良を加えて実用化していたりします。


ー学会誌に掲載される間にも実用化が進んでいるのはすごいですね!ありがとうございました。機械学習が、KLabのこれからをさらに面白いものにしてくれそうだなと思いました!最後に、今後の意気込みなどありましたら、よろしくお願いします!


社内にはコンテンツ作成、運用自動化など、機械学習が応用できる領域や機械学習で改善できそうな課題がまだまだたくさんあると思っています。今後も応用領域を探していろいろやっていきたいと思っているので社内の各部署に目を向けながら取り組んで行きたいと思います。

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