vol.1の記事はこちら→Creative情報発信~クリエイターの情報発信風土形成への取り組み vol.1:実施背景&理想と現実~
はじめに、技術職(エンジニア)の取り組みを参考にすべく、関係者へのヒアリングと調査を行いました。
KLabの技術職はメールでの社内情報発信文化が根付いており、1人1人がメールで技術情報の発信を行い、それを周囲が見ることができ、発信内容に対してリアクションしたり意見を交換する......といったオープンな情報交換の風土が既に形成されていたためです。
その結果、以下のような点が見えてきました。
・技術職の情報発信は四半期でおよそ100件~200件以上の投稿数がある(社内技術職の割合的にかなり多い)。中には1人で4~5件以上発信するといった熱量の高い人も
・発信数が多いため、その中から良い発信を拾ったり、対外発信機会への誘導を支援する組織もある
・テーマに制約がない。カジュアルなものから読み応えのあるボリュームのものまで様々。実務に即しているものもあれば個人的にやりたい研究を突き詰めていたりとバリエーションに富んでいる
・情報発信自体が目標として設定されており、発信者にとって良い成果であると評価の対象になったり、社内で表彰されたりすることもある
・メールが投稿されると、slackのchにも自動投稿される仕組みがある。そして、その投稿に対してレスやリアクションが付く
●投稿の一例。自動で特定のchにメールの内容が転載され、そこに返信やリアクションがつけられている
前に誰かが発信した題材を参考にし、さらに発展させた内容を別の人が発信したり......といった相互作用を生んでいる内容もありました。また、多くの発信をしている人は、SNSや外部カンファレンス、セミナー等でも名前を目にする機会も多く、社内での認知度向上に加え組織・個人のブランディングにも繋げられている印象を持ちました。
誰もが周囲に促されたりするわけでもなく、普段から自由に情報発信を行える風土......まさに理想に近い形を体現しています。
他にも様々な意見を頂きながら、
・発信テーマ やボリュームは問わず、基本的にどんな内容でも自由に投稿できる形にする
・発信情報を複数のプラットフォームに自動展開し、なるべく多く人の目に留まる場所を作る
・発信をピックアップする仕組みを用意して反響を集め、発信者が実感できるようにする
・発信内容や発信件数などに対するインセンティブを設ける
まずはこの辺りを重点的に意識して進めることにしました。
早速、技術職の取り組みを参考にしよう!と動きだしたものの、「メールでの発信」という点がネックでした。
というのも、もともと一部の制作職メンバーはメールでの情報発信を既に以前から行っていたにも関わらず、制作職全体へは浸透していなかったからです。なので、制作職全員に対して「発信はメールでしましょう!」とアナウンスしても、それだけではあまり効果があるようには思えませんでした。
そこで、あらためて制作職から頂いた意見を見返し、その中でも
「情報発信の必要性は理解できるものの、メールで広く公開するのは抵抗がある」といった声に注目しました。
投稿をお願いしようとしている人たちは、普段から社外とやりとりしたり、資料作りや文章でのやりとりが多いポジションの人よりも、専門性を活かしたモノづくりを日々行う人の方が多いです。
そうです。文章を起こし、それを自身の領域外へリリースするという行為が結構しんどいのです。
前例もなく、施策効果もまだ見えない段階であるなら尚更です。
慣れないメールで、広い範囲に向けて宛先を設定し、文章を書いて送信する......結構な心理的ハードルかもしれません。
(宛先を間違えてしまったらどうしよう...... なかなか送信が押せない...... そんな声が聞こえてきたような気がします。)
そこで、以下の仮説を立てました。
「投稿者が一から文章を書き起こす手間を省き、宛先も自身で設定しなくて済むようにしたら気にならないのでは?」
●「制作関連ノウハウや着眼点はすごいけど、文章が苦手」な人は居る。文章の得手不得手は情報の質に必ずしも比例しない※
(※情報発信することに対する取り掛かりの敷居の話であり、制作職に文章力が不要という意ではありません。冒頭にも書いたように「言語化を行い、他者にも理解できる形で発信する」というスキルはクリエイターにとって非常に重要です)
情報発信活動自体、殆どの人にとっては普段の業務にプラスオンとなるワケなので、プロセスをどれだけ簡素化したとしても、負担自体は確実に増えます。どれだけ便利なツールを用意しても、ゼロからワークフローをインプットすることになります。それらもまた、結構しんどいのです。経験上、新しいツールというものは相当な必要性に迫られない限り、面倒で使わなくなる傾向がとても強いです。今現在使い慣れているものを使用し、その中で完結させるに越したことはないのです。
半ば思い込みに近い形で仮説を推し進めてきましたが、ここまでの経緯を施策協力者(制作職)に説明した所、かなりの同意・共感の声を頂き、一安心。制作職みんな考えている事は一緒だったんですね。
宮内 俊成
KLab株式会社 クリエイティブ部 サウンドG マネージャー 兼 クリエイティブ広報窓口
次回は肝心の「Creative情報発信」をどういう仕組みで作ったか?についてお話します!
KLabのクリエイターがゲームを制作・運営で培った技術やノウハウを発信します。
合わせて読みたい
KLabのクリエイターがゲームを制作・運営で培った技術やノウハウを発信します。